よく聞く話
「グレーフェンベルクがGスポットを発見し、女性の快感の中心だと示した」という紹介を見かけます。
名前の由来を述べた2つの文献
- Puppo と Gruenwald 2012(Int Urogynecol J)「Gスポットは存在するか」を検討した総説
- 分かったこと
- 1950年にグレーフェンベルクが、膣の前の壁に性的に敏感な領域を述べた。その領域を「グレーフェンベルク・スポット(Gスポット)」と呼んだのは、Addiego、Whipple らの1981年の報告。著者らは、後の性科学者たちが1950年の論文の考えを「ごちゃ混ぜ」にしたと見ている。尿道内の腺は女性の尿道の海綿体ではなく、グレーフェンベルクは尿道内の腺の絶頂も報告していない、と述べる。
- 読むときの注意
- かなり強い言い方の、この著者らの見解。原論文はこの面の筆者も読んでおらず(要旨のみ)、確かめられていない。
- Hines 2001(Am J Obstet Gynecol)Gスポットを「現代の婦人科の俗説」として検討した総説
- 分かったこと
- Gスポットの考えは、1982年に一般向けの性の本に現れて以来、特に一般の人に広く受け入れられた、と書いている。
- 読むときの注意
- 名前が広まった経緯の説明で、存在を判断する材料ではない。
年表で見る
- 1950年:グレーフェンベルクが、膣の前の壁の敏感な領域について論文で述べる(Puppo ほか 2012 の要旨による)
- 1981年:Addiego、Whipple らの報告で「グレーフェンベルク・スポット」と呼ばれる
- 1982年:一般向けの性の本に登場し、一般の人に広まる(Hines 2001 の要旨による)
- 2012年:Puppo と Gruenwald が、名前と原論文の内容のずれを指摘。Gスポットをグレーフェンベルクの名前と結びつけるべきではないと主張
名前が広まったことと、実体が確かめられたことは別
名前がつき、一般書に載り、多くの人が知るようになったのは1980年代です。一方、実体を確かめようとする解剖・神経・画像の研究は、2000年代以降に多く出ています(→ 存在の面)。順序としては、名前が先に広まり、確かめる研究があとから追いかけた形です。
このため「有名だから確かな概念だ」とも、「俗説の出どころが一般書だから根拠がない」とも言えません。名前の由来は、中身の評価とは切り離して読むのが安全です。
まだ分かっていないこと
- 1950年の原論文の細かい内容(要旨だけでは分からず、この面の筆者も原論文は読んでいない)
- 1981年の報告が、どんな方法で何人を調べたか(要旨では分からない)
自分の体について考えるとき
名前の由来を知っても、自分の体の感じ方が変わるわけではありません。「誰かが名づけた概念」と「自分の体で感じること」を分けて読むと、情報に振り回されにくくなります。
よくある質問
Gスポットの「G」は何の略?
Gräfenberg spot(グレーフェンベルク・スポット)の略で、1950年に論文を書いたグレーフェンベルクの頭文字です。
Gスポットは1950年に見つかった?
1950年は、膣の前の壁の敏感な領域が論文に書かれた年です。名前がついたのは1981年。実体が確かめられたかは別の問題で、存在の面で整理しています。
出典
いずれも PubMed に載っている要旨(アブストラクト)を 2026年10月31日 に読んで確かめました。論文の全文は読んでいません。要旨に書かれていないことは、この面にも書いていません。
- Puppo V, Gruenwald I. Does the G-spot exist? A review of the current literature. Int Urogynecol J. 2012;23(12):1665-1669. PubMed 22669428
- Hines TM. The G-spot: a modern gynecologic myth. Am J Obstet Gynecol. 2001;185(2):359-362. PubMed 11518892
更新日:2026年10月31日|gspot.tokyo 編集委員会。当サイトは医療機関ではありません。この面は医学的な診断や助言ではなく、公表された研究の要旨を読んでまとめたものです。出血、強い痛み、発熱、排尿時の痛みなどの症状がある場合は、婦人科での受診を優先してください。