よく聞く話
「女性の射精と、いわゆる潮吹きは同じもの」「女性の射精は作り話」。どちらの言い方もあります。
読んだ研究
- Rubio-Casillas と Jannini 2011(J Sex Med)症例報告(1人)
- 分かったこと
- 勢いよく出る透明な液体は、薄めた尿の特徴(尿素417.0 mg/dLなど)だった。一方、「本当の」女性の射精は、前立腺特異抗原(PSA)の濃度が男性の精液の成分に近く、ごく少量の濃い白っぽい液体だった。著者らは、2つは別の現象で、出どころも仕組みも違うと結論。
- 読むときの注意
- 1人の報告。
- Pastor 2013(J Sex Med)系統的レビュー(EMBASE と Web of Science)
- 分かったこと
- 射精と呼ばれるのは、少量の白っぽい分泌物(女性の前立腺由来)。勢いよく出るのは、多めの薄まった尿。両方が同時に起きることもある。射精の経験率は10〜54%。液体が出ることは、典型的なオーガズムの一部ではない、と結論。
- 読むときの注意
- 経験率はアンケートが中心。射精が客観的に確かめられたのは数十例にとどまる。
- Pastor と Chmel 2022(Clin Anat)1946〜2021年を対象にしたナラティブレビュー
- 分かったこと
- 勢いよく出るほうは、約10mL以上の透明な液体で尿に似ており、膀胱から出る。射精は数mLの濃い液体で、尿道傍腺から出て、PSAの濃度が高い。2つは同時に起きることもあるが、仕組みはまったく別、と結論。
- 読むときの注意
- ナラティブレビュー(系統的な基準による検索ではない)。
- Rodriguez ほか 2021(Clin Anat)44本の文献(1889〜2019年)を見直した総説
- 分かったこと
- 射精の液体の出どころは、尿道傍腺(スキーン腺)。クレアチニンと尿素の濃度が尿と異なり、PSAを含む。この現象の存在を支持する十分な証拠がある、とした。
- 読むときの注意
- 著者らも、働きについては「明確な結論はない」と書いている。
言葉の整理
古い記事や調査は、読み替えが必要
Pastor と Chmel(2022)によれば、2011年までは、行為中に出る液体はすべて「女性の射精」と呼ばれていました。成分の分析で分けて考える見方は、それ以降に出てきたものです。呼び名が混ざったままの古い記事や調査の数字は、どちらを数えたのか分からないことがあります。
まだ分かっていないこと
- 2つの現象の人数・割合を、客観的な測定で数えた研究
- 女性の射精の働き
自分の体について考えるとき
液体が出る・出ないは、満足の大きさと結びつけて考えなくて構いません。Pastor(2013)のレビューも、液体が出ることは典型的なオーガズムの一部ではない、と結論しています。
よくある質問
女性の射精は作り話?
Rodriguez ほか(2021)は、44本の文献を見直し、現象の存在を支持する十分な証拠があるとしました。ただし、客観的に確かめられた例は数十例にとどまります(Pastor 2013)。
いわゆる潮吹きと同じもの?
別の現象とするレビューが多く(Pastor と Chmel 2022 など)、出どころも成分も違うと報告されています。
出典
いずれも PubMed に載っている要旨(アブストラクト)を 2026年10月31日 に読んで確かめました。論文の全文は読んでいません。要旨に書かれていないことは、この面にも書いていません。
- Rubio-Casillas A, Jannini EA. New insights from one case of female ejaculation. J Sex Med. 2011;8(12):3500-3504. PubMed 21995650
- Pastor Z. Female ejaculation orgasm vs. coital incontinence: a systematic review. J Sex Med. 2013;10(7):1682-1691. PubMed 23634659
- Pastor Z, Chmel R. Female ejaculation and squirting as similar but completely different phenomena: a narrative review of current research. Clin Anat. 2022;35(5):616-625. PubMed 35388532
- Rodriguez FD, Camacho A, Bordes SJ, Gardner B, Levin RJ, Tubbs RS. Female ejaculation: an update on anatomy, history, and controversies. Clin Anat. 2021;34(1):103-107. PubMed 32681804
更新日:2026年10月31日|gspot.tokyo 編集委員会。当サイトは医療機関ではありません。この面は医学的な診断や助言ではなく、公表された研究の要旨を読んでまとめたものです。出血、強い痛み、発熱、排尿時の痛みなどの症状がある場合は、婦人科での受診を優先してください。