よく聞く話
「最新の画像検査でGスポットが確認された」という紹介と、「画像に写らないのだから存在しない」という紹介があります。
読んだ研究
- Foldès と Buisson 2009(J Sex Med)健康な5人の超音波
- 分かったこと
- 性的な刺激なしで、骨盤の筋肉を締める動作と、膣内に指を入れた状態を超音波で見た。クリトリスの根元と膣の前の壁が、近い関係にあることが映った。著者らは、前の壁の感じやすさは、根元の圧迫や動きで説明できるかもしれず、Gスポットは神経の豊富なクリトリスで説明できるかもしれない、とした。
- 読むときの注意
- 5人。性的な刺激はなく、組織の調べも行っていない。
- Buisson ほか 2010(J Sex Med)パートナーとの行為中の超音波(1組)
- 分かったこと
- 膣が広がり、クリトリスの根元が引かれて、膣の前の壁と非常に近い関係になる様子が映った。著者らは、前の壁の心地よい感度の説明になりうるとした。
- 読むときの注意
- 1組の観察。
- Buisson と Jannini 2013(J Sex Med)健康な3人。外側のクリトリスへの刺激と、膣の中の刺激の超音波を比べた
- 分かったこと
- 外側のクリトリスへの刺激では、クリトリスの根元は関わらなかった。膣の中の刺激では、根元を含む一帯全体が動いた。著者らは、感じ方の違いは、クリトリスのどの部分が関わるかの違いで説明できるとした。
- 読むときの注意
- 3人のパイロット研究。
- Sivaslıoğlu ほか 2021(Turk J Obstet Gynecol)前の壁の下垂がある15人にMRI
- 分かったこと
- 候補とされる「高信号の焦点」が、3人(20%)に見えた。そこから組織を採って調べると、神経や血管の密度が高いところはなかった。著者らは、前の壁にGスポットはないと結論した。
- 読むときの注意
- 対象は前の壁の下垂がある患者で、健康な人とは限らない。
3つの超音波研究に共通すること
Foldès ほか(2009)、Buisson ほか(2010)、Buisson と Jannini(2013)の3本は、いずれも Buisson 氏が共著者で、対象は5人、1組、3人です。同じ研究グループによる小さな観察なので、別の研究室で同じ結果が出るか、人数を増やしても同じかは、まだ確かめられていません。
なお系統的レビュー(Vieira-Baptista ほか 2021)は、9件の画像研究について、存在と性質に関して矛盾する結果だったとまとめています。
「見えない」ことの意味
画像で見えないことは、感じやすさがないことの証明ではありません。画像は構造を見る方法で、感じ方そのものは測れないからです。逆に、画像で何かが動いて見えても、それがその人の感じ方を説明しているとは限りません。→ クリトリス内側説の面
まだ分かっていないこと
- 人数を増やしたときに、同じ動きが見えるか
- 生きた状態の画像と、組織の調べを、同じ人で比べた研究(読んだ範囲には見つからなかった)
自分の体について考えるとき
「Gスポットが見えるか」より「自分がどこをどう感じるか」を大切にして構いません。画像の研究はまだ、個人の体の感じ方を説明するところまで進んでいません。
よくある質問
超音波で見えたのは何?
クリトリスの根元と膣の前の壁が近いこと、動きに合わせて根元が引かれることです。Gスポットという独立した構造ではありません。
MRIでGスポットは見つかった?
15人中3人(20%)に候補の所見が見えましたが、組織を調べると神経や血管の密度は高くありませんでした(Sivaslıoğlu ほか 2021)。
出典
いずれも PubMed に載っている要旨(アブストラクト)を 2026年10月31日 に読んで確かめました。論文の全文は読んでいません。要旨に書かれていないことは、この面にも書いていません。
- Foldes P, Buisson O. The clitoral complex: a dynamic sonographic study. J Sex Med. 2009;6(5):1223-1231. PubMed 19453931
- Buisson O, Foldes P, Jannini E, Mimoun S. Coitus as revealed by ultrasound in one volunteer couple. J Sex Med. 2010;7(8):2750-2754. PubMed 20626602
- Buisson O, Jannini EA. Pilot echographic study of the differences in clitoral involvement following clitoral or vaginal sexual stimulation. J Sex Med. 2013;10(11):2734-2740. PubMed 23937167
- Sivaslioglu AA, Koseoglu S, Dinc Elibol F, Dere Y, Kece AC, Caliskan E. Searching for radiologic and histologic evidence on live vaginal tissue: does the G-spot exist? Turk J Obstet Gynecol. 2021;18(1):1-6. PubMed 33715320
更新日:2026年10月31日|gspot.tokyo 編集委員会。当サイトは医療機関ではありません。この面は医学的な診断や助言ではなく、公表された研究の要旨を読んでまとめたものです。出血、強い痛み、発熱、排尿時の痛みなどの症状がある場合は、婦人科での受診を優先してください。