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俗説と事実 03|解剖

解剖すればGスポットは見つかるのか

割れている:1体では「見つかった」、13体では「見つからなかった」

解剖の研究は結論が割れています。2012年の報告は、1体の遺体の解剖で「袋状の構造」を見つけたとしました。2017年の13体の解剖では、膣の前の壁の内張りのすぐ下は尿道で、Gスポットにあたる構造は他に見つかりませんでした。

よく聞く話

「解剖学的にGスポットは確認済み」という紹介と、「解剖しても見つからなかったので存在しない」という紹介の両方があります。読んだ範囲では、どちらも言い切れません。

読んだ研究

  • Ostrzenski 2012(J Sex Med)新鮮な遺体1体を、層ごとに切り分けて観察
    分かったこと
    膣壁の前の側に、境界のはっきりした袋状の構造を見つけたと報告。尿道の入口の上端から16.5mmの位置にあり、尿道の外側の縁と35度の角度をなす、大きさは長さ8.1mmなど。
    読むときの注意
    対象は1体。この論文には論評や著者の返信が複数つき(要旨に4件の記載)、議論になった。
  • Hoag ほか 2017(J Sex Med)13体(32〜97歳、固定8・新鮮5)を系統的に解剖
    分かったこと
    膣の前の壁の内張りのすぐ下は尿道で、Gスポットにあたる構造は他になかった。勃起性や海綿状の組織も、尿道の先がクリトリスに接するところを除いて見当たらなかった。
    読むときの注意
    著者自身が限界として、死後すぐの標本が得にくいこと、観察する側の偏りの可能性を挙げている。顕微鏡での組織の調べは今後の課題。
  • O'Connell ほか 1998(J Urol)10体(新鮮2・固定8、22〜88歳)を詳細に解剖
    分かったこと
    尿道は膣の前の壁に埋まっていて、膣に接する後ろ側を除く全方向を勃起性の組織が囲んでいた。この一帯は「膣の壁だけ」ではなく、尿道・膣・クリトリスの組織が詰まっている。
    読むときの注意
    Gスポットを探した研究ではなく、解剖の説明の見直しが目的。Gスポットがあるともないとも書いていない。
  • Vieira-Baptista ほか 2021(Sex Med)31研究の系統的レビュー
    分かったこと
    解剖の研究では、1人の著者は系統的に「見つけた」が、別のグループは見つけなかった。
    読むときの注意
    「見つけた」側は1人の著者の報告。

なぜ結果が割れたのか(要旨から読み取れる範囲)

  • 対象の数が大きく違う(1体と13体)
  • 年齢と保存の仕方が違う。Hoag ほかの13体は32〜97歳で、固定が8体、新鮮が5体
  • Ostrzenski の論文には論評と返信が複数ついており、研究者の読み方が分かれた

どちらが正しいかを決める材料は、要旨にはありません。Hoag ほか自身も、顕微鏡での組織の調べが、さらなる手がかりを与えうると書いています。

両方の研究に共通して読めること:尿道は前の壁のすぐ下

2つの研究に共通して読める事実があります。膣の前の壁のすぐ下には尿道があり、その周りにクリトリスなどの組織が接している、ということです(Hoag ほか 2017、O'Connell ほか 1998)。前の壁を押すと尿意に似た感覚が出ることがある、と言われる理由は、この近さだと考えられます。ただし、その感覚そのものを調べた研究は、読んだ範囲には見つかりませんでした。

まだ分かっていないこと

  • 生きているときだけ形が変わる組織が、遺体の解剖で見落とされていないか
  • 1体の報告が、ほかの研究室で再現されるか
  • 顕微鏡による組織の調べで、前の壁に特別な構造が見えるか

自分の体について考えるとき

解剖の結果と、自分の体の感じ方は別の話です。構造が見つからなくても感じやすい場所がある人はいますし、反対に「ここだ」と言われる場所で感じない人もいます。

よくある質問

解剖で見つからなかったなら、感じやすい場所はないの?

Hoag ほか(2017)の結論は「Gスポットという構造は見つからない」です。感じやすい領域の体験を否定する研究ではありません。

尿道が前の壁のすぐ下にある、というのは確か?

13体の解剖で、膣の前の壁の内張りのすぐ下が尿道でした(Hoag ほか 2017)。

出典

いずれも PubMed に載っている要旨(アブストラクト)を 2026年10月31日 に読んで確かめました。論文の全文は読んでいません。要旨に書かれていないことは、この面にも書いていません。

  • Ostrzenski A. G-spot anatomy: a new discovery. J Sex Med. 2012;9(5):1355-1359. PubMed 22781083
  • Hoag N, Keast JR, O'Connell HE. The "G-spot" is not a structure evident on macroscopic anatomic dissection of the vaginal wall. J Sex Med. 2017;14(12):1524-1532. PubMed 29198508
  • O'Connell HE, Hutson JM, Anderson CR, Plenter RJ. Anatomical relationship between urethra and clitoris. J Urol. 1998;159(6):1892-1897. PubMed 9598482
  • Vieira-Baptista P, Lima-Silva J, Preti M, Xavier J, Vendeira P, Stockdale CK. G-spot: fact or fiction? A systematic review. Sex Med. 2021;9(5):100435. PubMed 34509752

更新日:2026年10月31日|gspot.tokyo 編集委員会。当サイトは医療機関ではありません。この面は医学的な診断や助言ではなく、公表された研究の要旨を読んでまとめたものです。出血、強い痛み、発熱、排尿時の痛みなどの症状がある場合は、婦人科での受診を優先してください。

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